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『残酷な神が支配する』を読んで、1日寝込んでしまった。
前半は少年がひたすら義父に犯され追い詰められ続けるなかりキツイ内容だけど、それはいつか終わることはわかっていたし、ここまで強い嫌悪を抱かせる描き方ができる萩尾望都という人はやっぱり凄いと感動するほどだった。
私にとってキツかったのはむしろ後半。少年が義父を殺した罪を告白し、自分の長かった苦しみの本当の原因を知ってからだ。
何故萩尾望都はこんなにも、私が自分の人生を重ねられるような作品を描いてくれるんだろう。こんなに感情を全部持っていかれることはさすがに他にない。本当に丸一日、何ひとつ手をつけられず食事もとらず、脱力しきって泣いた。
しかし本当に感動したのも後半で、結果的には私にとって理想的なシンデレラストーリーとして幕を閉じた。自分が主人公ジェルミの立場であれば、その義兄イアンとうい存在は理想である。
『メッシュ』のミロンにしてもだけど、まさに絶妙の立ち位置のキャラクターだ。他人だがあるきっかけから生活を共にし、共感しあえる部分は少ないけれどお互い同一線上の問題を抱えていて、その問題に正反対から答えを出すような、そんな存在。
なぜかそういう物語を誰もなかなか描いてくれないので、私にとって萩尾望都は本当に貴重な作家だ。『残酷な神が支配する』は、今まで見たどんな物語より完璧かつ理想的なシンデレラストーリーだった。
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