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不埒

まっすぐ立ってフラフラ歩きたい

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11人いた!

「11人のカウボーイ」がとてもいい話だった。という話。
そもそもあらすじが、「老人が」「少年たちを」「一人前に」「育てる」なんて、何それ萌え作文?てなもんなんですけど。実際観てみたら、萌えてる暇はなかった。ジャンプの三本柱風にいうなら、試練・友情・成長。丁寧に描かれた成長譚で、実は復讐譚でもある。成長譚も復讐譚もかなり好き。

彼らが成長するきっかけや過程がとても丁寧で細やかに描かれていて、自然に手に汗握り、応援しながら見守ってしまう。10歳から15歳までの少年11人が、引退間近の老カウボーイについて牛追いの旅をするんだけど、これ、製作者も演者もすごいね。少年たちも、何であんな素みたいな演技ができるのか。暴れ馬を一人一人順番に乗りこなすのも、話の中で難題として描かれているのに、みんな何とか一発で合格する。他の西部劇の打たれて高い所から落ちるシーンなんかもだけど、当時はスタントとかも使ってないわけで、実際その設定どおり演じられる役者がいるということがすごい。それが年端もいかない少年たちだよ? これを撮ろうと思った人もすごいなあ。
牛追いの旅は当然過酷だし老カウボーイは厳しいんだけど、少年たちは年相応にへそを曲げたり泣いたり、力不足に悔し涙を流したりしつつも、乗り越えていく。試練の後には必ず成長がある。そして仲間との絆は深まり、旅の引率の大人たちを信頼し、尊敬する。初めて見た黒人たるコックの男も、優しいわけではないが厳しく叱るよりは老獪にいなすタイプで、頑固な老カウボーイとのバランスがとてもいい。親がどうして二人いるかわかったような気がした。片方いなくなってもいいようにと、片方が間違ってももう片方が止められるようにだ。大人から子供への一方的な関係が、あまり偏りすぎないようにするためだ。そもそも有性生殖というのは、そういうものではないか。
ネットで感想を探したら、「最後の復讐は蛇足だった。子供たちが銃で人を殺すのは見てて気持ちのいいものではない」というような意見を見つけたけど、個人的にはあれはものすごく大事なシーンだと思う。彼らの成長の集大成だ。旅の中で、彼らは守るべきものとそのための戦い、そして死について、実践で理解した。あれはその上での復讐であり、決してきれいごとではない。彼らがカウ「ボーイ」でなく、「カウメン」になった。物事に自分で決着をつける力をつけた。復讐の因果や咎も、ちゃんと自分で背負うことができる。そのことを表す、この映画で一番大事なエピソードだ。いや、どのエピソードもすべて捨てられるものなんかないんだけどね。

萌え設定にもかかわらず大して期待してなかったけど、結局保存版にした。いい話だった!

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