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不埒

まっすぐ立ってフラフラ歩きたい

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人間交差点

いわゆるカーチャンスレでよく見られるアスキーアートの↓これ↓
 AA http://www.9033700kg.com/others/k_aa2nd.html
 FLASU版 http://www.9033700kg.com/ka_chan2nd.html
を見たとき、感動しつつも、「あれ?」って思ったんですけど。なんかどっかで見たことあるぞと。ああ、そうだ。

「人間交差点」 (弘兼憲史・矢島正雄/小学館)

だ。小さい頃見た。多分、小学校に上がるより前だと思う。
と思って調べたら、やっぱり同じように思った人がいるみたいで、どうやらわたしの記憶は正しかったらしい。

多分わたしが生まれて初めて読んだ漫画っていうのは、月刊少年マガジンか、ビッグコミックオリジナルなんです。だって家にあったから。父が購読してたのがその2誌だったから。
母は漫画嫌いで、父は少女漫画嫌いでした。というか、父は週刊少年漫画誌も嫌いだったな。だからわたしも小さい頃、メジャーな少年誌は読んでなかった。そういうところから、今のマイナー趣味がきているような気もするんだけど。

しかし他の漫画をほとんど見ていないにしても、子供心に、この「人間交差点」は、何だかちょっと違うと思った。こういう漫画もアリなのか、と思った。
人が憧れるような人間が主人公でなくてもいいのか、華々しい経歴や功績を描かなくてもいいのか、と。
地味な雑誌とはいえ、月刊少年マガジンだってそれでもやはり少年誌で、強い主人公がその信念と力で突き進んでいく話が主流だったし、大人向けのビッグコミックオリジナルにおいても、それなりに能力のある主人公たちが、華麗とはいかないまでも何らかの策を弄し、気持ちのいいハッピーエンドに辿り着く、そういう話が目立っていた。だから、やはり漫画はそういうものだと思っていた。
しかし「人間交差点」のこの回は、子供の視点からでは、あまりに救いがなくてハッピーエンドとは思えなかった。
何にも悪くない主人公が、生涯働きづめだった母親を結局は亡くす。そこまでに、何一つ晴れがましいエピソードはない。溜飲の下がるような、努力の報われる出来事は起こらない。ただ、無学を悔いる母を見て必死で勉強をした主人公が、悪を憎んで刑事になる。そして母の死に際にも刑事の仕事のため、駆けつけるのがギリギリになる。そして、何とか間に合っても、結局母はそのまま息を引き取る。本当に、それだけの話。
子供心に、この話はあまりに救いがなかった。しかし最後まで読んだ。頼む報われてくれと、そう願いながらページをめくった。最後まで。ハッピーエンドがあると信じていた。しかし、母は死んだ。
その結末を、当時は受け止め切れなかったけど、ただ辛いというのとは違う気持ちになったのを覚えてる。30年ほど経った今でも覚えてるくらいなんだから、物凄いショックだったんだと思う。そしてそのショックというのがつまりは、「漫画は、華々しい内容でなくてもいい」という新しい真理だった。今振り返って考えてみて、その考え方は、ずっとわたしの中に残ってるようです。


と、今回はちょっと自分の漫画遍歴について語ってみた。漫画によって辿り着いた(通過した)ひとつの分岐点の話。小分けにちょこちょこ書いていきます。
もしかしたら、ここ読んでくれてる人は、こういうことを読みたいのかなあとか思ったので。っていっても、別に望まれてるものを書くようなブログではないんですけどね。

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